葛布道中着の復元
経通し
ステンレスで出来ている綜絖の穴に1本ずつ経糸を順番に入れていく。経糸の束は機から吊るしておき、それを4〜5束に分け、最初の通し始めの束以外は抜け落ちないように片輪結びをしておく。綜絖の穴が、吊るしたあや棒の真ん中より気持ち上になるように位置を修正する。また、作業者の目線が、綜絖の穴とあやの両方が一度に確認できる位置であるよう、座る高さを調整する必要がある。この作業は綜絖通しという、先が鈎状になった金属製の器具を使って行う。1寸巾程通し終わったら、抜け落ちないように手前側に片輪結びを作る。
現在当工房ではこのようにステンレス製の綜絖を使っているが、江戸時代はおそらく糸綜絖である。後者の方が経糸にかかる負担が少なく、織りやすかったのではないだろうか?次回は、糸綜絖を作って再挑戦する機会を得たいと思う。
筬刺し
綜絖通しが済んだ経糸を今度は筬に刺していく。この作業は、薄いへらのような形で、先端が中央に向かってVの字に切れ込みの入った金属製の「筬刺し」という器具を使って行う。まれに、手織り屋仲間のうちで、自家製の竹で作った筬刺しを使っている工房がある。江戸時代も、自分で使いやすいように道具を工夫したものであろうか。
筬は、織り幅を確保し、かつ緯糸を打ち込む道具である。江戸時代は全て竹筬であったはずだ。当工房にも竹筬は若干残っているが、筬目が違っているのでこの場合は使えない。従って、近代的なステンレスの筬を使うことにする。
この道中着は、片羽といって筬目に1本ずつ経糸が通っている。若し、通し間違って1本空いてしまったり、逆に1目に2本入ったりしてしまうと織り傷になってしまうので、注意して通さなければならない。すなわち、1寸程通し終わるごとに片方の綜絖をあげて、通し間違っていないかどうか確認するのである。通し間違いがあった場合は、そこから後の筬刺しを全てやり直さなければならないので、面倒でも1寸ずつ確認する方が確かである。
大体の織物は耳糸を作るが(布の両端にあたる筬1目に2本の経糸を入れて丈夫にすること)、この道中着には耳糸が確認されないので、経糸全てを片羽にする。筬刺しも綜絖通しと同様1寸終わるごとに裏側で片輪を作り、抜けないようにしておく。
前付け
筬刺しの終わった経糸を女巻き棒に取り付けた力布の先端にあるステンレス棒に結びつけていく。これに先んじて、経糸が機後方の横木から綜絖を通り、筬の真ん中を通り、女巻きに達する迄一直線であるように調整する。また、結びつける順序は女巻きの棒に対して、最初に真ん中、順次左右交互に中へと進ませる。最初はきつめに結び、後になるほどゆるく結ぶ。そうしないと最初に結んだ物ほどゆるんできてしまうからである。
次に、踏木を踏んでその時に出来る開口が筬巾に合うように調節する。
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