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2009年3月15日 (日)

葛布道中着の復元

製作の実際

 深津氏が調査した結果、道中着1領に必要な布地は、幅36cm、長さ6mであった。そこで、2領分を一度に織ろうと、次のように設計した。

通し幅 1尺5分  (織り幅1尺の見込み)
筬密度    42/寸  (片羽)
整経長 17、1m
経糸本数 441本
経糸総長 7540m
緯糸に必要なつぐりの量 700g

この設計に従って以下のような作業を行った。

整経
整経とは、設計通りに経糸の本数を揃え、それを決められた長さに、乱れることなく経る作業である。通常整経台という杭が何本も打ってある長方形の枠を使う。整経は1本だけで行うことも出来るが、能率が上がらないので4本以上まとめて行うことが普通である。ここでは4個の木枠を使って経ることにする。整経法には、環状整経と往復整経がある。環状整経は、1周が経糸の長さになり、ちきり(経糸を巻く棒。機の後方に設置する)にも女巻き(織られた布を巻く棒)にも端が切られた経糸を結んで固定することになる。往復整経はちきりになる側に達すれば、ターンして行きと同じ道を帰ってくるやり方で、ちきりには経糸の輪を通すことになる。ここでは、前者の整経法を採ることにする。
 環状整経では、手前右端の杭からスタートさせる。始めに、巻き尺などを使ってスタート棒から如何に経れば目的の長さになって再びスタート棒に戻ってくることが出来るかを決める。この時、どうやっても目的の長さにならないときは、補助の杭を臨時に設ける。道筋が決まれば、あまり糸等で経糸の道筋が分かるように巡らせ、ガイドの役を持たせる。
 次に、整経台の向こう側に綿糸を巻いた木枠を4個等間隔に設置する。木枠の真上に表面が滑らかな棒をわたし、木枠から真上にあげた綿糸がその棒の上を通って経る人の手元にくるようにする。こうすることによって経糸同士の絡みを防ぎ、木枠から糸を引き出しやすくすることができる。木枠の周囲を回転しながら糸が引き出されることにより、必然的に引き出されるごとにあまい撚りがかかることになる。木枠上の糸の回転が、実際にかかっている経糸の撚りを阻害しない方向に木枠の上下を修正しなければならない。つまり、この道中着の経糸はS撚りであるので、経糸は、木枠の周囲を左周りに回転しながら引き出されるように木枠をセットするのが正しい。次に、4本の経糸の端をまとめてスタート棒に結びつけ、いよいよ経を経る動作を開始する。スタート棒からやや離れた作業者の正面あたりに特別な杭を2本見立てる。これは、「あや」を取るための棒で、この2本の棒の間を経糸が交互に×印を作るように重ねられることで、糸の順番を正確に見いだせる。この×になっている部分を「あや」と呼び、織物では大変大事な部分である。さて,作業者は4本のあやを作るために、右手の人指指と中指を交互に使って4本の経糸をすくい、あやを確保した後2本のあやとり棒に糸を差し込む。その後、経糸4本を一緒にして、ガイド糸に沿って経ていき、最後にスタート棒に戻る。この場合、総経糸数が441本なので、この動作を110回繰り返し、最後に残り1本だけ経ればいい訳である。
 経終わった経糸の束を約50cmごとに余り糸等で縛り、乱れを防ぐ。あやには織り幅よりもやや長めのあやひもを通しておく。そして、スタート棒の近くで経糸の束を切り離す。経糸の束を乱さず運ぶために、あやの反対側の端から糸束を鎖状に手で編んでいき、風呂敷等で包んでおくとよい。

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