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2009年3月14日 (土)

葛布道中着の復元

仕上げ

 道中着は、表面が滑らかで艶があり、しかも布の裏側迄水を吸収しにくいという特徴がみられる。このことから、道中着は、布の段階で表面の毛羽を取り除き、撥水性のある何かで加工された後、砧打を施されたのではないかと推察される。撥水性のある何かとは、何であるのか。大蔵常永「製葛録」の挿絵には、店の使用人のような人物が三味線のバチよりも一回り大きなもので布の表面に何事かしている図が描かれており、解説には「艶つけている図」とある。三味線のバチのようなものは何で出来ているのであろうか。木か、陶器か、象牙か。これで布の表面をただこすって艶を出しているのであろうか。或は、このバチ状のものの布に当たる部分に、例えば油や蜜蝋のような撥水性のあるものをつけて塗布していると見ることは出来ないだろうか。現段階では推論の域を出ない。
 ちなみに、当工房のある旧金谷町小夜の中山にある休憩所には、丁葛という名前で、古風な紙包みに入った四角い葛粉の固まりがおいてある。聞けば、一反の葛布を仕上げるのにちょうど良い量の葛粉であるところからこの名がついたという。計量すると約40gで、当工房で作る葛布の長着一反約13mの重さは約800gであるところから布の重量の5%の糊を使うことが分かる。経験から言うと、5%はかなり固めに仕上がるが、その後の砧打で柔らかくしたのであろうか。あるいは、1反は裃袴のセット一式約17mくらいを指すのであろうか。この答えを出す作業も今後の課題となる。
 俗に「しけとり」と呼ばれる布の表面に出た余分な毛羽を鋏でもって取り去る作業は、今の葛布屋は誰でも行うことであり、それ専用の鋏も残されている。ただ、この道中着は葛糸の有様がみごとであることから、毛羽はそれ程出なかっただろうと思われる。

 以上が復元しようとしている道中着を観察、調査した結果分かったことである。
 では次に、製作の実際について述べる。

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