娘の卒業式
3月24日は、娘の大学の卒業式だった。
入学式は、息子の中学入学と重なって行ってやれなかったので、この度は是非行って娘の晴れの姿を祝ってやりたかった。
私は、半年も前から卒業式にはかせる袴の製作に取りかかっていた。もちろん葛の袴である。
卒論で西洋史における色をテーマに選び、壁画に描かれたマリア様の衣装の赤に注目した娘のために、私は糸を赤く染めた。経の絹も赤、緯の葛も赤。染めに使ったのは黄檗とラックダイである。よりいっそう鮮やかで強い赤を出すために、先染めで糸から染めた。同じ赤でも、後染めで白布を染めるよりも先染めにする方が深い色が得られる。
写真は、着付け終わって卒業式に出るまでの間、自分の部屋で、お世話になった先輩宛に手紙を書いているところ。
中振り袖は、私のおばあちゃんの形見の品。母が12歳の時に他界しているので写真でしか会ったことはない。おそらく、祖母が嫁入りの時に持って来た物であろうから、今から70年程前のものであると思われる。紫の綸子にもみの裏が映って、艶っぽい色になっている。なんせ古い物なので、着付けの時、美容師さんにあんまり強く引っ張らないように気を使わせてしまった。
赤い葛袴は、太陽の下でみるとよけい美しかった。下鴨神社で行われている蹴鞠の時、鞠人たちが着用しているのがこの葛袴である。
日本広しと言えど、葛袴をはいて卒業式に臨んだのは私の娘只一人だろう。
織り人である母親の面目躍如! 私から娘への精一杯のエールである。

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