事任神社への奉納
今日、事任(ことのまま)神社へ葛布の狩衣を奉納して来た。
この神社の熱心な信者であるNさんの依頼で、一年かけて織り上げたものである。
縫製は京都の井筒屋さんという時代衣装のオーソリティーにお願いしたそうで、相当の熟練の職人さんの手によるものという。製作依頼から二ヶ月を要したとのこと。
葛の繊維は剛直なので、この始末の仕方は大変ご苦労であっただろうと思う。
天衣無縫とはこの事を言うのか。
奉納の儀式を終え、狩衣を手に取って見せていただく。
あげくびの始末や袖口の巻き上げ始末など、今までに一度も見た事のない見事なものであった。
柔らかな光を透過して宮司様がお召しになった姿は神々しいまでに美しい。
Nさんはとっても不思議な人だ。
二年ほど前ひょっこり工房にお見えになり、神官用の衣を織るように、と言われる。
相当値のはるものなのに、いっこうにかまわないと言う。
そしてこの事は絶対神社さんには知られないように、とおっしゃる。
私は、まるで神様の使いから命ぜられたかの如く、頭真っ白、あっけにとられてしまった。
試行錯誤する事約一年、ようやく布は織り上がり、報告のお電話を差し上げたのが一年前。
しかし、この時もNさんは不思議な人だった。今は体調が悪くて出られない。あなたを信用しているので直接京都の井筒屋さんに送ってくれ、と言うのである。
片手では足りないほど高価なお代をいただくのに、肝心の布は見なくていいとおっしゃるのである。
もうとっくに神衣は神社に奉納されただろうと思っていたところ、数日前またまたひょっこりNさんから、やっと縫製ができたので一緒に奉納式へ出てもらいたいというお電話をいただいた。
奇しくも、来月は事任神社の移籍1200年に当たる大祭が行われるという。
Nさんには霊感があって、今日は不思議な事がまだあった。
神社の奥様が数日後阿波忌部(あわいんべ)を訪ねる旅行に行かれるのだという。
忌部氏こそは、神代の昔から朝廷の儀式に使う様々な調度や物品を調達する高貴な一族であったのだ。
特に、阿波忌部は大嘗祭の時に麻布を織って献上する事で有名である。
そうか!事任神社と織物は関係が深いのか!
儀式が終わって奥様からお抹茶の接待を受け、四方山話をしていると突然Nさんが、これから村井さんの工房に行こう、と言い出す。
Nさんはこうと思ったら押しが強い。観光バスや参拝客の応対で大忙しの奥様を連れ出して、工房まで来てしまった。
奥様に別冊太陽の自然布特集のコピー(徳島木頭村の太布や阿波忌部のことが詳しく報告されている)を差し上げると大層喜ばれた。
葛布の色々な品をお見せし、あれこれと話が盛り上がり、楽しい一時だった。
それにしても、私に神衣を織らせ、神社の奥様と懇意にしていただくきっかけを与え、昼ご飯をおごってくれたりお土産まで下さるNさんとは、一体何者なのだろうか?
私にとってNさんは、まさしく神様からの使者なのである。これからこういう仕事をしてこういう人とおつきあいなさいよと、手取り足取りご自分の財布を軽くしてまで私にご教示下さる、ありがたい天からの勅使、といえようか。
このご縁をきっかけに、私は事任神社のご奉仕活動を始めさせていただくつもりである。

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コメント
すごい神衣ですね。写真からも
そのすごさを 感じます。
私、青山と申します。
先日、徳島の友人の縁で
阿波忌部を知り、吉野川市の3周年の
記念行事に行きました。
http://www.city.yoshinogawa.lg.jp/other/kinenjigyo/index.html
阿波忌部研究 第一人者である 林先生に
いろいろ 案内していただきました。
今回 ご縁で 浜松で 林先生の出版記念講演会を
行うことになりました。
12/15 を予定しております。
もし ご興味ありましたら これに対し
コメントいただけますか。
投稿: やっちゃん | 2007年10月17日 (水) 17時48分